WORDS
アースガルド 海上都市
アースガルド (古ノルド語: Ásgarðr)とは、北欧神話に登場するオーディンを長とする神々の王国。
また、死すべき定めの人間の世界のミズガルズの一部とも。
この項目では海上都市について記述する。
世界最大の海上都市にして産業都市。「海の都」「地上の星」といった別名をもつ。
上空から見ると五つの矢じり型ブロックの集合体の形(星形)をしている。構造は大きく縦三層に分かれていて、宇宙空間に近いほど階層の番号は小さくなる。
一階層は「農場(ファーム)」とも呼ばれ、土での作物育成や空港での交易が主流。
二階層は上層からの品の受け取り施設や、娯楽施設や生活利便施設や宅地が並ぶ、海上都市のメイン層。
三階層は海面に一番近いため漁港や海路の物資運搬などの交易が行われている他、上の階層から流れた廃棄物のリサイクル施設などがある。
軌道エレベーターが都市中央にあるため、陸海空宙全ての交易の恩恵を得れる珍しい都市でもある。
社会システムの構成員の人口はおよそ8割がシンカーであり、その寿命の短さから縦割りが機能しないため基本的に横並びになる。また、不眠不休や短いスパンでの仕事などのシンカーにあわせた職が多いため、他の在住する人類種には基礎所得保障制度があてられている。
発達したAIや人間といった人類が残りの人口2割であり、工場機械なども働き手として数多く存在している。
4年に一度行われるマシンダイビングの開催の地でもある。
ユグドラシル 第一軌道エレベーター
ユグドラシル (古ノルド語: Yggdrasill)とは、北欧神話に登場する架空の樹。
元は第一軌道エレベーターに付けられた開発コードであったが、後に正式名称となった。
柱部分は木星付近で建造され宙から降ろす形で、地上にある海上都市と合わさり建造された。
企画当初は赤道上に作られる予定だったが過激な反対運動もあり、南半球にあったグレートバリアリーフが消失しその付近の有効活用として場所を変更した。
低・中・高と各軌道ステーションがあり、そこでは様々な居住区角がある。
地上から物資を引き上げ、上空から直線距離での配達も可能なため流通関係に秀でている。
また発電能力や宇宙からの物資補充もあるため人類にかかせない存在になっている。
観光名所でもあり、重要文化財でもある。
異物衝突に備えての迎撃や防衛機構も存在しており、各所のメンテナンスは自動で行われている。
ヴァルキリア 防衛機構
ヴァルキリア (古ノルド語: valkyrja)とは、北欧神話の戦場で生きる者と死ぬ者を定める女性のことである。
戦場で力尽きたものをオーディンの納めるヴァルハラに連れていく役目を持つ。
ここでは軌道エレベーターに搭載された防御機構について記述する。
軌道エレベーターは巨大でありその構造上攻撃行為に対し脆弱であるため、防衛は困難である。
カウンターウェイトまで全てカバーするには人的リソースは足りないため、それらを自動化する必要があった。
そこで上位機械に提案・生み出されたのがヴァルキリアと呼ばれる幾重にも重なる防衛機構である。
当初は人間や機械からの攻撃を想定していたが、先の冷戦で疲弊した国が多く、結果はそれを含むが主にそれ以外からの攻撃から身を守る形となった。衝突コースに入った廃棄人工衛星や隕石、スペースデブリなどがそれに該当する。
現時点の情報開示されている機構は二点となっている。
第一機構は電磁障壁。軌道エレベーター付近に電磁ネットを張り巡らせ質量の軽いものなら受け止め、海上都市方向にベクトルを向かせ資源として回収するというもの。
第二機構は光学兵器。質量の大きいものを当たる前に破砕するというもの。
いずれも軌道エレベーターの節目部分全てに存在していて現在も機能しているものである。
第三機構以降は使用された形跡はない。
シンカー
シンカー (英: thinker being)とは、機械から産まれた新人類を指す。
人間( 英: human being)同様に常用語ではbeingは略される。
血液が青い(銅由来)ため「ブルーブラッド」と呼ばれる事もある。
外見は人間と変わらない。
旧人類とは身体構成や思考速度・学習速度が異なる。身体構造は痕跡器官がない事や強固な骨格、加えて睡眠が必要ない事が特徴。身体のメーカーや個体差はあるが、最大思考速度は人間のおよそ10倍とされている。
5年ほどで寿命を迎える。
この寿命設定は現在の人間の平均寿命(65歳※非サイボーグ化)を元に計算されており、5年の寿命×10倍の思考速度×1.3の不眠時間(現在の人間の平均睡眠時間は8時間)から導き出されている。
独自文化として寿命を終えた、または終えそうな個体はリィンカーネーションと呼ばれる儀式を行うことで記憶や経歴や肉体を抹消し、新しい身体と経歴を手に入れて次の人生を送る。
儀式前に脳内の仮想空間で上位機械とアクセスし次の人生の初期経歴や身体メーカーの設定をする。
その文化の特徴上、性別はあるが、新生児は存在せず生殖機能もなく、苗字がない。
また、産まれた時から必要最低限の記憶をインプットされているため即座に活動でき、社会構成人数がほどんど上下しない。
生産当初は機械だと人間から思われていたが、人間側の研究が進み生命と認知され人類種に加えられた。
人間
人間 (英: human being)とは、人類・ヒト、またはその概念のことである。
シンカーの出現とともに旧人類とも呼ばれることもある。
学名はホモ・サピエンス(知恵あるヒトの意)、ヒト属。
サイボーグなど身体を機械に置き換えていく事が可能になった現在では、新生児の出生届けと共に生身の肉体の登録届けを行う。機械化手術を行った場合、置き換えられた部分は登録届けの該当箇所から削除され、本体として認識されなくなる。この制度は以前機械が生体部品の全身移植して成功し、その際に自分が人間だと主張したときに生じた出来事により整備されたものである。
また全身が天然の生身ではなくなった場合の人間は機械として扱われる。
上位機械
上位機械 (じょういきかい)とは、機械のヒエラルキーの頂点にいる存在である。
誰も見た事がない、どこにいるかもわからない存在。
しかし、シンカーはリィンカーネーション時のコンタクト、機械や人間は端末で何かを要求する時に、上位機械にアクセスするので存在だけは身近といっていい。
あらゆる情報を網羅しているため、要求に適切な解答をし続ける。
正体についての仮説がいくつもあるが、立証できたものはない。
リィンカーネーション
リィンカーネーション (英: reincarnation)とは、転生を意味する。
死者の魂が再びこの世に生を授かる、生まれ変わることを指す。
この項目ではシンカーの文化について記述する。
寿命を終えた、または間近のシンカーは当該地域にある施設を用いて次の人生の身体を手に入れる。
引き継げるものは何もなく、全くの別人として生きていく。
また、寿命とは関係なく現在の素性や人生に飽きた者も行う事が出来る。
儀式前のシンカーは脳内で上位機械と仮想空間でコンタクトし、次の人生の素性を決める。
設備内では現在の身体は分子レベルまで分解され、指定された企業の身体のマニュアルにのっとり再構築される。
リィンカーネーション後に前世を探ろうとする者も少なくないが、プライベートデータがどこに保管されているか知る術はない。
ニューロンコネクター
ニューロンコネクター (英: neuron connector)とは、シンカーの脳内回線のシステム及びそれ自体のこと。
全てのシンカーの脳には神経回線があり常時無線で膨大な記憶空間へのアクセス、シンカー同士や上位機械とやり取りを行えるシステムがある。
地球上にいる限りタイムラグはほぼなく、趣味から仕事まで幅広く使われている。
人間向けの説明ではブレイン・マシン・インターフェースで例えられることが多い。
種族単位のスタンドアローンの形でありながら、外部から情報を入力できる例外が存在する可能性があるため(※未確認情報のため現在でも審議中)危険視する人間の声もある。
それらの懸念から「300事件」が勃発。数多くの人間のクラッカーが侵入を試みた事件であり、組織犯罪にあたるものとなった。
内容はシンカーを捕えて機材に繋ぎ、脳内へ強制アクセスをするというものであった。
結果は失敗し逆侵入されるという顛末を辿った。首謀者以下256人が逮捕された。
ミーミル・システム
ミーミル(古ノルド語: Mímir)とは、北欧神話のオーディンの相談役の賢者の神。
オーディンの祖父にあたり、その容姿は巨人とされる。
ここではシンカー独自の学習システムついて記述する。
覚醒中でありかつ身体活動を行っていない場合、次の行った行動のフィードバックがより鮮明に正確に得られるというもの。
つまり、休息をとったぶんだけ次の行動の上達速度が速くなるというもの。
これはよく経験値の上乗せなどと言われたりする。
一見特異な性質にみえるが人間でもこのような現象は発言する。一日に平均10~18時間眠る赤子は母親の異なる10種類以上の言語を判別し理解する。しかし、赤子が成長するにつれ母親が最も多く使う言語に最適化し他の言語は忘れていく。
シンカーの場合はその忘れる工程がだけないで、脳内でほぼ同様の処理が行われているとされる。
マシンダイビング
マシンダイビング (英: machine diving)とは、4年に一度開催される高高度スカイダイビングの全16人のトーナメント制度の大会。
軌道エレベーターのある海上都市で主に行われ、D-unitを装備して低軌道ステーションのレース用のレーンからスカイダイビングをするというもの。
おおよその高さは2000㎞であり、選手の出す速さは時速1500㎞を超えるハイスピードレース。
空気のない区間はフリーフォール区間であり、直線ルートを通るのがオーソドックスな流れだが、どのような速度でどのようなルートを通ってもいい。
カーマンライン(地表から100km地点)を抜けた際に視界にコ―スのホログラムガイドが表示される。ガイドから外れると指定された時間内に外れた地点から入り直さないと敗北となる。コースレイアウトの事前通達はなく、競技中に公表される。
偶発的であろうとも軌道エレベーターに対する攻撃行為は許されていないため、あらゆる遠距離兵器の搭載を禁じている。しかし、選手間での攻撃や防御のための近距離兵装は許可されている。
優勝者はどんな願いでもひとつだけ叶えられる。これは上位機械の決定事項であるため、本当にどのようなものでも叶えられる。
第一回大会優勝機「ブラッククイーン」の搭乗者は母国への資金援助を要求し、その国のGDPの50%ほどの予算が募金という形で納められることとなった。
D-unit
D-unit (英: diving unit)とは、高高度での空中活動用の人体保護の装備を指す。
用途によって必要な装備は変化するが、基本形は全身を硬い外部装甲と柔軟性のある素材で覆う。航空機の空中給油の補助で使われたりする場合もある。
どの人類でも扱える装備のため、様々な改修が行われており空中以外でも運用されており、海中や北極などの局地で活躍するものもある。その場合もD-unitと呼ばれる。
マシンダイビングでは競技用に特化されており、大型のブースターやラジエーター、スタビライザーなどを取り付ける。攻撃のために武装をつける機体もある。
全距離最速記録は第一回マシンダイビングの優勝機体「ブラッククイーン」。
農場 ファーム
農場 (英: farm)とは、牧場を意味する。
この項目では海上都市一階層及び一階層にある施設について記述する。
白い四角柱の塔がいくつも建造されていることと、緑豊かな地面が特徴な階層。
柱は土壌調整用の管理タワーであり、表面は無数の可動式の白色パネルで構築されている。パネルの角度と変えて、太陽光を反射させることで作物への日差しのコントロールを行う。タワー内部は作物への散布用の薬品や貯蓄倉庫、農具等が入っている。タワー入口直売所がある場合もある。
海上都市であるため海風が吹き込むが、土壌は改良されており塩害を受けないように工夫されている。
海上都市が南半球に位置するという緯度の都合、温暖な環境での作物が育ちやすい。また、環境を整えやすいため作物の収穫は良好。
主な作物はブロッコリー、トマト、トウモロコシ、サトウキビ、根菜類全般。
ラストノートカンパニー
ラストノートカンパニー (英: last note company)とは、アースガルドの第4区画を主軸に展開している多業種間にまたがる巨大企業。
現在は第二階層の大半のシェアをもつコングロマリットであり、初期のラストノートは海上都市の素材制作企業だった。
海上都市の建造が終わる段階で、アパレル産業を取り入れ成功を収める。これは当時は建造が行われていたことで住民が作業服でいることが多かったが、建造終了とともに新たな服を購入するだろうとの予見からだった。
先見の明は衰えず、アパレルのあとはテーマパークや美術館などを展開。
その成功の反面に黒い噂話も多く、「社会に仇なすものになろうとしている」「都市経済の転覆を狙っている」などが絶えない。
現社長であるヴィクトリアはそれらに対して否定し、また「不条理はあってはならない」と声明を出している。
シンカー企業
シンカー企業 (しんかーきぎょう)とは、シンカーの身体を製造する企業のこと。
リィンカーネーションするシンカーは次の人生でどのような身体にするか事前に決められるため、そのオーダーに応えられるように各企業が分割してその役割を担っている。
現在では3社存在している。
以前存在していたエドワルドライン社を含めると、4社が歴史上あった。
オートパビリオン社
オートパビリオン社 (英: auto pavilion company)とは、シンカーの身体を製造する企業。
略称は「AP社」。
他社と比べ、身体のボディラインや体脂肪率などに重点を置き、スタイルを良く見せる事に長けている。
一番最初にシンカーを作り始めた企業でもある。
リリースした身体は、第一世代「ノクターン」、第二世代「セレナーデ」の二種である。
過去にはプロトタイプの「カノン」があったがビルの火災事故により焼失し、世に出ることはなかった。
製品名は音楽からつけられている。
トリニティ・キャリバー
トリニティ・キャリバー (英: trinity Caliber)とは、シンカーの身体を製造する企業。
その社名の通り、「精神力」「才覚」「行動力」の三つを主軸に、トータルバランスを持つ身体を製造している。
しかし他社製品と比較して、基礎レベルが高いために100%のポテンシャルを引き出すには相応の努力が要求されるためやや玄人向けの志向となっている。
リリースした身体は、第一世代「エリザベス」、第二世代「レオノール」の二種である。
製品名は歴代女王からつけられている。
ドヌクール ボディステイト
ドヌクール ボディステイト (英: de honnecool body state)とは、シンカーの身体を製造する企業。
高い運動量を可能にする身体を提供するメーカー。
トップアスリートを数多く輩出しているのが特徴。
社名は永久機関考案者のヴィラール・ド・オヌクールの名と先進的という意味を込めたcoolの造語。
リリースした身体は、第一世代「アンタレス」、第二世代「カノープス」の二種である。
製品名は天体からつけられている。
エドワルドライン社
エドワルドライン社 (英: edward line conglomerate)とは、シンカーの身体を製造していた企業。
複合企業であり、シンカーの身体を制作していたのは一時のみ。
社内の医療関係者が総出で身体制作を企画し、結果としてリィンカーネーション後の違和感がほぼないというシンカー思いの身体を作り上げる。
反面、その外見は奇抜な色の肌や容姿であったことや、カスタマイズできるパーツを主軸に展開していて、おおよそ人類からかけ離れたものになりがちになる。
製造された身体は当時は人気が無く、廃版が決定した後に徐々にカルト的な人気を獲得していった。
リリースした身体は、第一世代「ヘルメス」一種のみである。カスタマイズパーツ数は93個。
製品名はギリシャ神話からつけられている。